
『メンタルヘルスとセックスに関するアンケート Sexuality, Psychological, Identity Related Issues Targeted Study(SPIRITS) Wave 2』にご協力いただきありがとうございました。男性同性間におけるHIV感染の拡大が続いている現在、本研究は男性とセックスの経験のある男性(Men who have Sex with Men、以下MSM)のHIV感染リスク行動−コンドーム不使用状況など−の実態やそれに関連するメンタルヘルスなどの心理・社会的要因を明らかにすることを目的に実施されたインターネット調査です。研究参加者は日本全国に渡り有効回答数は2,062人でした。回答ミスは比較的少なく、自由記述欄にはアンケート回答を通じて考えたこと、ご自身の現在の日常生活のなかで日々感じていることやこれまでのライフヒストリー、本研究への期待や感想、ご批判等々とても多くのコメントをいただきました。アンケートおよび自由記述欄の記述から、研究に参加してくださったみなさんが一生懸命に回答してくださったということが強く伝わってきました。ありがとうございました。また、調査実施時にはバナー広告を通じて調査実施のお知らせをインターネット上でさせていただきましたが、いくつかの商業ゲイ・サイトからは無料広告として本研究をご支援いただきました。
バナー広告にご協力いただいたサイトは別途ご紹介させていただきます。

ゲイ・バイセクシュアル男性およびMSMを対象としたメンタルヘルスに関する調査研究は本邦ではこれまであまり行われてきませんでした。1999年夏に本邦で初めて実施された
『ゲイ・バイセクシュアル男性のメンタルヘルスに関するアンケート(研究参加者数1,025人)』では異性愛者を装うことによるストレス−異性愛者的役割葛藤−を強く感じている者ほど、抑鬱、特性不安、孤独感、自己抑制型行動特性が有意に高く、セルフ・エスティームは有意に低いことが明らかとなりました。また他集団対象の先行研究の結果と比較しても、ゲイ・バイセクシュアル男性は全般的に精神的健康を悪化していることがわかりました。生育歴におけるライフイベントの実態としては自殺を考えたこと、自殺未遂、いじめ被害などの経験割合も示されました。その後、2001年夏に私たちは『自由記述式によるインターネット調査 Sexuality, Psychological, Identity Related Issues Targeted Study(SPIRITS) Wave 1』を実施し、コンドーム使用や不使用に関わる様々な状況や感情、メンタルヘルスに関わる事柄についてみなさんから生の声を寄せていただきました。本研究『メンタルヘルスとセックスに関するアンケート Sexuality, Psychological, Identity Related Issues Targeted Study(SPIRITS) Wave 2』では、SPIRITS@Wave 1でみなさんから寄せられた生の声や専門家の意見、これまでに海外で実施されてきた研究結果などを参考にして質問票を作成しました。

男性同性間においてHIV感染が拡大している現在、MSMを対象とした有効なHIV予防対策を推進するために、本研究の結果を多領域の専門家にもご報告したいと考えています。HIV対策やメンタルヘルス対策に重要な関わりがある、学校現場の教諭や養護教諭などの教育関係者、医師や看護師、保健師などの保健・医療の従事者、心理カウンセリングを担う臨床心理士などの心理臨床家、医療ソーシャルワーカーなどの福祉職、そしてHIV対策やメンタルヘルス対策に従事する行政担当者など関連する領域の専門職の方々に本研究結果を還元することを通じて、各専門職の専門性を活かした形で有効なHIV対策やメンタルヘルス対策が実施されていくよう呼びかけていこうと思っています。そのため、このホームページも対人援助職の方にも読んでいただけるような内容で作成しました。

本研究は本研究は平成14年度厚生労働省エイズ対策研究事業「HIV感染症の動向と予防介入に関する社会疫学的研究」(主任研究者・木原正博)および平成15年度厚生労働省エイズ対策研究事業「男性同性間のHIV感染予防対策とその推進に関する研究」(主任研究者・市川誠一)の研究の一部として実施されました。また、本研究はIRB(Independent Review Board)として京都大学医学部「医の倫理委員会」による研究計画の審査および同委員会の指針に基づき、実施しました。