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spirits-wave2これまでに男性とセックスの経験のある男性を対象として、Web上に開設した本研究専用ホームページを介して、無記名自記式質問票調査を実施しました(実施期間:2003年2月28日〜5月16日)。

spirits-wave2質問項目の構築にあたっては、1)2001年8月〜9月に実施した本研究の第一次調査であるオンライン質的研究 Sexuality, Psychological, and Identity Related Issues Targeted Study (SPIRITS) Wave 1によって抽出された、セックスやコンドーム使用および不使用行動に意識的・無意識的に作用していると考えられる心理的な問題の諸側面や、2)本邦においてHIV陽性者やMSMの心理カウンセリングの臨床経験がある心理臨床家による臨床経験に基づいた示唆、3)米国における先行研究の結果を参考に検討しました。




spirits-wave2本研究で用いた主な質問項目は、基本属性、インターネット利用環境、HIV/STI一般知識、過去6ヶ月間のセックスやコンドーム使用状況、性感染症の既往歴、セックスに投影される心理的なこと等に加えて、STAI特性不安尺度(Spielberger、水口・下仲・中里訳)、異性愛者的役割葛藤尺度(日高)、自尊心尺度(Rosenberg、山本・松井・山成訳)、改訂版UCLA孤独感尺度(Russel, Peplau & Cutrona、工藤・西川訳)、SDS抑うつ尺度(Zung、福田・小林訳)等の心理尺度などによって構成しました。以下、本調査で用いた心理尺度の概要を説明します。

spirits-wave2STAI特性不安尺度(得点範囲:20〜80点):不安とは発汗、めまい、不眠などの生理的現象を伴った、漠然としたおそれのことをいいますが、不安は一般に恐怖とは異なり、不特定の不明瞭な、目標のない危険に対する反応だと考えられています。不安は自律神経等の興奮が伴う一時的、状況的な不安と、ストレス状況に対して状態不安を喚起させやすい傾向で比較的安定した個人内特性による不安があります。特性不安はストレス状況下において前者を生み出す個人差特性すなわち、個人の不安傾向であると言えます。この尺度はSpielberger C.D.によって開発され標準化されたSTAIを水口、中里らが翻訳し、信頼性および妥当性を検討した上で標準化し、商品化された尺度です。高不安と判断される基準値(カットオフポイント)は44点とされています。

spirits-wave2異性愛者的役割葛藤尺度(得点範囲:15〜60点):日高によって開発された、異性愛者を装うことでストレスを感じる状況場面を設定し、その時々に感じる役割葛藤の頻度を測定する尺度です。「彼氏のことを彼女に置き換えて話しているとき」「彼女いないの?と聞かれ、適当に話をあわせているとき」「『結婚話』をすすめられたとき」など15項目によって構成されています。尺度得点が高いほど異性愛者的役割演技をすることによってその役割演技に対する葛藤が高いことを表しています。

spirits-wave2自尊心尺度(得点範囲:10〜50点):Rosenbergによって開発され、山本らによって翻訳され、信頼性および妥当性を検討された自尊心尺度です。自分をどれだけ大切に思っているか、自分をどれだけ評価しているかというセルフ・エスティームを測定するものです。セルフ・エスティームの訳としては、「自尊心」「自尊感情」「自己評価」などいくつかあります。

spirits-wave2改訂版UCLA孤独感尺度(得点範囲:20〜80点):Russel, Peplau & Cutronaらによって開発された孤独感尺度を工藤・西川が翻訳し、信頼性および妥当性を検討された尺度です。孤独感とは人間関係の中でわれわれがこうありたいという願望があるとき、その願望が十分に満たされなかったり逆に倫理的な満足感を低下させるような結果が生じたときに感ずる感情の1つであると定義しています。UCLA孤独感尺度は孤独感が社会的関係の不全に由来するという状況的立場から開発されています。

spirits-wave2SDS抑うつ尺度(得点範囲:20〜80点):Zung WWKによって開発され標準化された尺度を福田・小林が翻訳し、信頼性および妥当性を検討した上で商品化された尺度です。この尺度は自己評価により抑うつ状態を測定する尺度であり、スクリーニングテストとして活用されることが多く、本邦のみならず世界中で使われています。日本人の平均点は一般の健常者においては男性で35点、神経症患者においては男性で46点、うつ病患者においては男性で59点であると言われています。




spirits-wave2本研究のホームページを潜在的な研究参加者に広く知らせる方法として、50件を超えるゲイサイトにバナー広告を掲示し、バナーリンクによって研究参加を呼びかけました。バナー広告掲示にあたっては、各サイトの管理者の協力と一部の有償広告の併用によって行われ、またこうしたリンク協力の依頼をE-mailを通じても行いました。このE-mailがスノーボール式に転送されることによって、口コミによる研究実施の告知にもなったものと考えられます。さらに、ゲイ雑誌やゲイ対象のメールマガジンにおいても本研究の実施について記事が掲載されたことによって、研究参加者の増加につながりました。

spirits-wave2本邦においては可視化されづらい集団のひとつであるMSMを対象とした調査手法にインターネットを活用することの最大の利点は、研究参加者のプライバシー等の秘匿性を最大限に確保した状況で、当事者の研究参加が実現できる点であると考えられます。インターネットを介した質問票回答は、個別訪問調査やロケーション・サンプリングとは異なり、研究参加者の都合に合わせて、時間や場所を選ぶことなくアンケートに回答という形で研究参加が可能になるという利便性もあります。加えて、インターネットを通じた回答は、従来からの「面接調査」や「紙とペンによる質問紙調査」に比較してもその回答は信憑性が高いとも言われています。その信憑性の高さは、研究参加者がひとりでいる空間で自由意思に基づいてひとりで回答できる可能性が高いことなどが要因であると考えられます。そのため研究参加者のプライバシーを確保するためには、インターネット上のセキュリティやシステムにも十二分の配慮が必要であると考えられました。また、本研究の対象とする集団は社会的マイノリティであることや、質問票の内容は精神的健康や性行動など非常にセンシティブな内容であるため、内容的側面からも高いセキュリティの確保が必要であったため、インターネット・サーバのセキュリティ保守には以下のような対策を講じました。




spirits-wave2ホームページ制作に当たって使用したプログラムは、コードを隠蔽することが可能なJAVA言語によって構築しました。JAVAはperl言語、php言語、asp言語に比較するとセキュリティは高くなると考えられ、また、本研究サイト全てをセキュリティ機能の付加されたhttpプロトコルであるSSL(Secure Socket Layer)によって保護しました。SSLはインターネット上でのショッピング時などのクレジットカード情報や、個人情報の保護などを目的に、インターネット上で最も使用されているセキュリティ手法の一つです。このSSLによって、Web上で研究に参加した研究参加者からの回答データとWebサーバ間の通信内容を暗号化し、SSLによるデータの暗号化を、回答データ送信時の情報漏洩防止策としました。




spirits-wave2本研究に用いたサーバはRAID機能を有しており、1台のディスク装置が万が一の不測の事態により機能を停止した場合でも、代替ディスクによりシステムは正常に稼働するようシステムを設計しました。このサーバは他のユーザーとの共有はなく本研究専用として運用しました。また、本サーバはステルス型のFirewallならびにアプリケーション・ゲートウェイによってインターネットセグメントから分離されており、不正アクセスからサーバを防御しました。

spirits-wave2サーバ管理に関しては専門の業者に運用管理を委託し、サーバはその業者社屋に設置しました。調査実施中に、社外からのインターネットを経由した運用管理の処理をすることは一切なく、全て内部に設置したlocalネットワークで処理を行いました。監視・制御も同様に外部からのモニタリングは一切なく、すべて業者社屋内で行いました。データ運用にあたってはアカウント制限を設けており、本研究サーバには担当管理者のみがアクセス可能としました。なお、サーバ室は管理運用場所と別フロアになっており、物理的な侵入も不可能にしたことで、サーバ管理上の物理的なセキュリティも高めることができました。耐障害性の面では、電源の二重化・ノイズカットトランス・電源の無停電化・光ファイバーを用いたアイソレーションの確保などにより、システム面だけでなくフィジカルな対応も行いました。また、サーバ・システムの生死(ネットワーク疎通)にかかわる障害は監視システムで自動検出するようにしました。

spirits-wave2ポートに関しては、必要以外のアプリケーションポートを閉じることは前提であると考え、リモート操作を可能とするデーモン(telnet、rsh、ftp)は全て閉じた上で運用しました。Webのhttpリクエストおよびsmtpポートはインターネット運用上閉じるわけにはいかず、smtpのアクセス制御の設定をlocalからのリクエストのみ配送とし、外部から故意に利用されるのを防止しました。また、アクセスログの管理は担当管理者により厳重に行い、日に数回の定時監視システムによりサーバの運用を管理・保守しました。




spirits-wave2サーバに蓄積された回答データは、業者社屋内のlocalネットワークによるE-mailを通じて管理運用PCおよび、サーバの自動バックアップによる保存と同時に、日に一度外部記録メディアに保存しました。また、データの受け渡し方法はパスワードによって保護したデータが納められたCD-Rによって、週に一度業者から研究者へ搬送されました。




spirits-wave21)これまでに男性とセックスの経験のある男性であること。

spirits-wave22)ゲイコミュニティで使われている俗語によるワードトレーサーに反応すること。このワードトレーサーによって、質問票回答者が取り込み基準1)に該当するかを判断する基準としました。

spirits-wave23)質問票回答が初回であること。同一人物が同一端末より複数回に渡って質問票回答をしていないことを確認するために、クッキーをプログラム化しました。クッキー情報から、同一端末からの初回回答分のみを解析することを基本としました。同一端末から複数回に渡る回答がクッキー情報により確認された場合は、基本属性、自宅郵便番号および回答傾向から、同一人物が故意に重複回答したものであるかどうかを検討しました。重複回答検索のためのこのスクリーニング過程を徹底するために、クッキーを受け容れないブラウザからは質問票サイトにアクセスできないプログラムにしました。

spirits-wave24)さらに、同一人物による重複回答がされているかを検索するために、研究参加者のインターネット接続時のIPアドレスを検索しました。しかしながら、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)方式では個人に固定のIPアドレスが付与されているわけではないので、インターネット接続時のプロバイダを同定した上で、基本属性や自宅郵便番号および回答傾向から重複回答の可能性を検証しました。以上4点のスクリーニング要件を全て満たしたデータのみ、解析対象としました。




spirits-wave2研究参加者に対して、本研究の目的と研究方法について説明した上で、以下の項目についてWeb上で研究に参加にあたっての同意確認を質問票回答前に行いました。1)インターネット上に開設されているアンケート専用ページを通じて、アンケート回答という形で研究に参加すること、2)研究参加にあたって、プライバシーは保護され、匿名で参加すること、3)セックスやメンタルヘルスに関する質問項目のいくつかは、場合によっては立ち入った質問のように感じることがあったり、不愉快な気分になる可能性があること。そういった場合やその他の理由で、アンケートの回答途中であってもいつでも自由にアンケート回答を中断する(研究参加を取りやめる)ことができること、4)研究に参加しないという選択肢もあること、5)研究に参加するにあたり参加費などは発生しないが、インターネット接続時のプロバイダ課金や電話料金は研究参加者の自己負担であること、6)アンケート回答が初回であること、以上の6項目について確認を行いました。また、研究参加にあたり不明な点や質問等がある場合は、研究者といつでもE-mailによって連絡が取れることを説明した上で、そのための研究者のE-mailアドレスを付記しました。そして、最後にもう一度全ての項目に同意した上で研究に参加する確認を行い、同意した者のみが質問票サイトへ進めるようにホームページをプログラムしました。


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